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遺言執行者

遺言執行者という言葉は、ファイナンシャルプランナー試験にも出題されますが、その詳細については詳しくは学びません。
先日、遺言執行者について整理する機会がありましたので、自分の知識の整理も兼ねて、このブログでも書くことにします。
みなさまにとっても、参考になれば幸いです。


■遺言執行者とは

遺言書の記載内容を、実際に実現する人のことを、遺言執行者と言います。
相続人の代理人という位置づけであり、相続財産の名義変更や、相続に関するさまざまな手続きを相続人に代わって行う立場の人です。
どの相続人に対しても公正中立な立場で、その業務を遂行する役割を持つとされています。


■遺言執行者の選任方法

遺言で指定された場合は、その人が遺言執行者となります。

遺言執行者が遺言で指定されなかった場合、遺言執行者が先に死亡していた場合、遺言執行者として指定された者が遺言執行者になることを拒否した場合には、相続人が家庭裁判所に請求して選任することもできます。

遺言執行者は、個人に限らず、法人(信託銀行など)がなることもできます。可能であれば、相続関連の法律に詳しい弁護士や税理士などを遺言執行者に指定することが望ましいでしょう。
未成年者と破産者は、遺言執行者になることはできません。未成年者または破産者かどうかの基準は、遺言書作成の時ではなく、相続開始の時点で判断をします。


■遺言執行者の業務

遺言の記載内容のうち、下記の2つの業務は、遺言執行者のみが行うことができます。
・認知(市町村役場に、認知の届け出を行う)
・相続人の廃除・取消(家庭裁判所に申し立てる)

もし遺言執行者がいない場合は、家庭裁判所で遺言執行者を専任してもらわなければ、この2つは実現できません。

下記の3つの業務は、遺言執行者がいる場合には相続人が行うことはできず、遺言執行者が行わなければなりません。
・遺贈(受遺者に対して財産を受け取るかどうかを確認する)
・遺産分割(財産の引き渡しや不動産登記など)
・寄付

遺言執行者以外の相続人がこれらを行った場合には、その行為は無効となります。
逆に、遺言執行者がいない場合には、相続人がこの3つの業務を行うことに問題はありません。

以上の業務は、相続人同士の利害関係により、業務の執行が滞ることもありえます。
これらの業務を円滑に進めるため、遺言執行者を指定しておくことに意味があります。

ちなみに、被相続人の銀行口座からお金を引き出す必要がある時、遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が銀行で押印などの手続きを行うことで預金を引き出すことができます。そうでない場合は、相続人全員の印鑑証明書が手続き上必要になります。なお、ここで述べた預金引き出しルールは、金融機関によって異なる場合があります。


■遺言執行者に関する問題点

相続人や受遺者も遺言執行者に選任することはできます。
しかし遺言執行者は相続人に対して中立的な立場で業務を行うべき立場ですが、相続人と遺言執行者が同一人物だと、中立的な立場とは言えなくなるため、それがトラブルを招く場合もあります。
ですので、遺言執行者は、相続人とは利害関係のない弁護士、税理士などの専門家に依頼する方がのぞましいといえます。
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相続時精算課税制度の使いどころ

相続時精算課税制度については、FP技能士試験でよく出題されますので、その制度概要をご存知の方は多いかと思います。ただ、相続時精算課税制度を使うべきかどうかの判断は、なかなか難しいところではあります。

以下に、相続時精算課税制度の利用が有効な場合、有効でない場合をいくつか列挙しています。
ご自身が相続時精算課税制度を利用する時や、相談者へのアドバイス時の参考にしてみてください。


・将来値上がりする資産に対しては有効
相続時精算課税制度を利用した時の課税額は、贈与時点での評価額となります。そのため、将来値上がりする資産の場合は、値上がりする前の評価額で評価できるので、その分得になります。

将来発展が期待できる場所にある土地や、成長の軌道に乗りつつある会社の自社株などでは、有効と言えるでしょう。
一方で、時間とともに価値が下がる建物や、今後に賃貸物件として利用予定の土地などは、逆に高値で評価されてしまうことになるので、相続時精算課税制度は使わない方がよいといえます。


・2500万円以下の財産に対しては有効
110万円を超えるが、2500万円以下の範囲の財産であれば、相続時精算課税制度は有効です。
これらの財産は、通常の暦年贈与の場合だと贈与税が課税されてしまいます。しかし相続時精算課税を使えば、贈与した年に贈与税は発生せず、相続時にも基礎控除内に収まるのであれば相続税の支払いも不要です。


・多額の資産を贈与したい場合は有効でない
この場合は、相続時精算課税制度は使わず、暦年贈与で資産を移転し、低率の贈与税を支払う方がよい場合があります。こうすることで、相続時に発生する相続税額を下げる効果も期待でき、贈与税と相続税のトータルの支払税額を抑えることができるためです。
相続時精算課税制度には、暦年贈与のようなトータルで見た時の税の低減効果はありません。そのため、多額の資産がある場合は、相続時精算課税制度はあまり有効ではありません。
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  1. 2013/03/29(金) 07:02:43|
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初診日が65歳以上の場合の障害年金

障害年金の、ちょっと細かいルールのお話です。

厚生年金の被保険者のうち、初診日が65歳以上の場合は、障害厚生年金の受給対象となります。
しかし、65歳以上の人は原則として国民年金の第2号被保険者ではないため、障害基礎年金の受給対象とはなりません。
この場合は、老齢基礎年金と障害厚生年金とを併給することになります。

FPの資格をお持ちの方も、この内容がぱっと頭に浮かぶ方は少ないのではないでしょうか。
高齢の方への障害年金の説明の時には、必要な知識ですから、整理して理解しておくとよいですね。
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  1. 2013/03/27(水) 22:50:19|
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成年後見制度について少し細かい点について学びました

先日、成年後見制度に関する勉強会に参加してきました。
ファイナンシャルプランナーの試験(FP技能検定)でも成年後見制度に関しては出題されますが、この日に学んだ内容は、より実務的な視点や、制度そのものの問題点なども含めて学ぶことができました。
学んだ内容の一部をこちらでもまとめますが、成年後見制度の基本的な概念(FP試験で出題されるレベルの内容)は省略しています。

■成年後見制度が利用されていない現実
成年後見制度は、2000年に介護保険制度と同時に導入されました。介護保険制度は今では多くの方に利用されていますが、一方で成年後見制度はそれほど利用されているとは言えない状況です。
その理由として、介護保険制度はその利用メリットが大きい(介護関連費用の一定額までは1割の自己負担で済む)のですが、成年後見制度はそこまでのメリットがなく、だから認知度も低いし利用する必要性がない、というのがおおかたの理由のようです。

たとえば、成年後見制度の利用により、後見人が被後見人に代わって契約などの法律行為を代理できるという特徴があります。しかし成年後見制度を利用しなくても、判断能力がなくなった人とは別の人が代理で物事を進めている現実があるので、成年後見制度の必要性をあまり実感できないのかもしれません。

■市町村長が実際に後見人になるのか
法定後見制度において、市町村長が後見人になることができるというルールがあります。家族と死別してしまっているなど、身寄りのない人にとっては、市町村長が後見人になることに意味があります。
しかし実際に市町村長が後見人になるかどうかは、市町村によって温度差あります。成年後見制度の利用に力を入れている自治体であれば、市町村長が後見人になってくれるケースも多いです。しかしそうでない自治体の場合は、自治体窓口の担当者自身が、後見制度のことをいまいち把握していないケースもあるようです。

■後見、保佐、補助の区分
法定後見制度において、後見、保佐、補助の分類は、医師の審査を経て、裁判所が決定します。しかしその具体的な判断基準は一般の人にはわからない、ブラックボックスな世界のようです。

■任意後見監督人の立場
任意後見制度において、法律上は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することになっています。
しかし実際には、家庭裁判所で後見監督人を任命できる人材を用意できない場合もあり、その場合は任意後見制度を利用しようとする本人やその後見人候補者が、後見監督人として適任と思われる人を裁判所に推薦することもあります。
後見人が自ら、後見監督人を選ぶことになってしまうと、悪い方に考えればこの2人が共謀して悪さをすることも可能と言えば可能となり、これでは監督にならないと見ることもできます。

■任意後見契約の範囲
任意後見契約では、後見人の権限を契約によって定めます。しかし、後見人が行える権限の範囲を狭くしてしまうと、被後見人に何かあっても、後見人がそれに対処できないという事態も発生してしまいます。
できるだけ包括的な後見を行えるよう、契約を締結することも大切になります。

■任意後見制度には、後見人に取消権がない
法定後見制度の場合は、本人が行った契約を後から後見人が取り消せるという取消権があります。したがって、万が一、悪徳商法に引っかかってしまった場合であっても、その契約を取り消すことが可能です。
しかし、任意後見制度の場合には、この取消権がありません。後見人ができることは、クーリングオフの期間に契約を取り消すことや、そもそも本人が契約を実行できないよう、財産や印鑑などをあらかじめ後見人が管理するくらいしかありません。

■後見人は医療同意権を持てない
任意後見でも法定後見のいずれの場合も、本人に何らかの医療行為が必要となり、医者が本人とは別の同意者を求めてきた場合であっても、任意後見人はそれに同意することが認められていません。

■後見人は、死後の事務を行えない
任意後見でも法定後見のいずれの場合も、本人が亡くなった後に必要となる、役所への届け出、葬儀などの行為は認められていません。というのも、後見制度は、生存中の人に対する支援制度と位置付けられているためです。
もしその事務にも携わる場合には、後見契約とは別の契約を締結しなくてはなりません。
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  1. 2013/03/26(火) 20:34:22|
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海外に移住した時に、変わる税金の扱い

このブログをご覧の方は、大半が日本に住む日本人だと思います。
さて、何らかの事情で海外に移住することになった場合、課税に対してさまざまな変化があります。
FP技能士試験でも、所得税や相続税において、非居住者に対する課税について出題されています。


海外移住すると課税面でいろいろ変化がありますが、その中から私が最近知った、ちょっと細かい点についてお伝えします。

■ 特定口座
非居住者になると、特定口座の利用ができなくなります。そのため、海外移住に伴い、特定口座で扱っていた証券は一般口座に移す必要があります。

■常に世界中を移動している人の場合
たとえば、漁船やタンカーの乗組員、航空機のパイロットなどの人の場合です。こういった職業の人の住所が国内にあるかどうかは、以下のような基準で判定します。

・その人が勤務時間外に滞在する場所が、日本国内にあるかどうか。
仕事をしていない休日などに、日本に滞在している状況が多ければ、日本に住所があるとみなされるでしょう。

・その人の配偶者や生計を一にする親族が、日本に居住しているかどうか。
たとえば、その職業についている限り世界中を移動し続けるような人の場合で、特定の国に頻繁に立ち寄るようなこともない場合です。
この場合は、その職業を退職したときに帰るべき家(家族が住んでいる場所)が日本にあれば、日本に住所があるとみなされるようです。
実際には様々な観点から総合的に判断されることになりますが、以上の理由から、配偶者や生計一の親族が日本に居住していれば、推論的に日本に住所があるとみなされるようです。

■年の途中で海外に移住した場合
年の途中で居住区分(居住者・非居住者の区分)が変わる場合、それぞれの期間の区分に応じて所得税が課税されます。
たとえば1/1~10/31まで日本の居住者であり、11/1~12/31まで非居住者である場合です。この場合には、1/1~10/31に発生した所得に関しては、居住者として所得税が課税されます。一方で11/1~12/31に発生した所得に関しては、非居住者として所得税が課税されることになります。


海外移住の時の課税に関しては、その専門サイトや書籍などもあります。
もっと詳しく知りたい方は、より専門的な情報元から学んでみてくださいね。
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  1. 2013/03/23(土) 09:05:19|
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不動産の立ち退き料をもらえるのかどうか

仮に、あなたが不動産物件(建物や土地)を借りているとします。
ところが、後になって貸主から、「その不動産を使いたいので、返してほしい(立ち退いてほしい)」と言われた時に、立ち退き料をもらうことができるでしょうか?

結論から説明すると、賃貸借契約であれば立ち退き料をもらえる可能性は高いですが、使用貸借(お金のやり取りが発生しない貸し借りの契約)であれば、立ち退き料は支払われません。

賃貸借契約の場合、貸主側の事情で不動産物件を返却してもらいたいとき(すなわち賃貸借契約の解除を申し出る場合)、正当事由が必要です。これはファイナンシャルプランナーの試験(FP技能検定)でも出題される内容ですね。
正当事由があれば、貸主は不動産物件を返してもらえますが、実務上多くの場合、借主側に立ち退き料を支払うことが求められます(ここまでして、合法に契約を解除できる)
そのため、不動産の借主は、契約の解除を受け入れる代わりに、立ち退き料を受け取れる可能性は高いといえます。

しかし使用貸借契約の場合、このルールは当てはまらないのです。じつは、使用貸借契約の場合は借地借家法が適用されないため、借主が法的に保護されることもないためです。賃貸借契約の場合は、借地借家法が適用されるのとは対照的です。
そのため、使用貸借契約の場合は、立ち退き料をもらえることは基本的にはありません。もし、貸主側が払うことに合意すれば立ち退き料をもらえますが、法律上その必要はありません。


無料で不動産を借りられる使用貸借契約は、借り手にとっては経済的にとても好都合ではあります。しかし借地借家法による保護がないため、該当不動産を使い続けられる十分な保証がないとも言えます。特に、使用貸借の対象となっている不動産物件を、貸主が別の人に譲渡してしまった場合には、新しい貸主が借主に対して立ち退きを求めてくることも十分に考えられます。
(特別な契約がない限り、新しい貸主には使用貸借契約の内容は引き継がれません)

ですので使用貸借契約を締結する場合には、万が一にも立ち退きを求められたときに対する備えをしておくことも、大切になりますね。
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  1. 2013/03/22(金) 06:17:28|
  2. 不動産
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プロフィール

著者:「FPの知恵・要望を結集した無料のライフプランソフトFinancial Teacher System」開発チーム代表 佐藤潔之

著者:「FPの知恵・要望を結集した無料のライフプランソフトFinancial Teacher System」開発チーム代表 佐藤潔之



金融業界でシステム開発に関わっているITコンサルタント・システムエンジニアです。当ライフプランソフト(家計分析シミュレーションソフト)はどなたでも使えるフリーソフトなので、どうぞご利用ください。

マネーやFPに関する勉強会を複数運営しています。詳しくは下記リンクの項目をご覧ください。

保有資格:FP1級/証券外務員1種/簿記2級/データベーススペシャリスト/情報セキュリティスペシャリスト/応用情報技術者/Microsoft認定ITプロフェッショナル

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