<自筆遺言書>赤ペンで斜線…効力失わせ内容無効 最高裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151120-00000094-mai-soci遺言は、実に奥が深い世界。
法律でいろいろ要件は定められているものの、法律の規定にはないさまざまな様式で書かれたり、法律も当事者も想定していない事態に陥ったり、どう調整してよいか分からないような損得対立の事例が山ほどあります。
そのたびに裁判によって判断がなされますが、本件のように最高裁で判決がひっくり返ることもあります。
遺言は、実に奥が深い世界。
「公正証書遺言にしとけば安心だよ」という人もいるのですが、到底そうはいえない世界だと思います。
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- 2015/11/20(金) 22:40:28|
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国税庁が、「相続税の申告要否判定コーナー」を作りました。URLは下記です。
https://www.keisan.nta.go.jp/sozoku/yohihantei/topこのサイトでは、相続発生時点における資産(現預金、証券、不動産、その他いろいろな資産)や負債を入力することで、相続税がかかるかどうかを簡易的ですが、判定してくれます。
このサイトは、今から1か月ほど前にリリースされました。
リリースの翌々日くらいに私も使ってみましたが、相続税がかかるかどうかのYes/Noの判定は行うものの、相続税の金額を試算してくれる機能はありませんでした。
あくまでも、入力した資産額の合計額と、相続税の発生有無(要は課税遺産総額が基礎控除を超えたかどうか)だけを表示してくれるに過ぎないものです。
相続に関するさまざまな特例も考慮した試算をしてくれるわけではないので、相続税対策のシミュレーションに活用することはできません。
相続コンサルにも関わる人たちからすれば、機能的には中途半端感が否めないですね(笑)
いくつかの会社が相続関連ソフトを提供していますが、それと比較するとかなり機能不足です。
では、なぜこんな中途半端なものを国税庁がリリースしたのか、という観点で私なりの見解を簡単に書いてみます。
国税庁としては、最終的には所得税と同じく、相続税の申告書作成コーナーを作るつもりなのだと考えています。
ところが相続税の申告者数は、所得税や贈与税の申告者数よりさらに少ないので、申告のシステム化を実現するに当たって費用対効果の面で懸念があったのだと思われます。
多額の開発費をつぎ込んだ結果、国税庁としてそのメリットが得られないなら、意味がないですからね。
そこで、前段階として、相続税の申告に関する利用者ニーズを探るため、現行の申告判定コーナーを作った可能性があります。
この判定コーナーをいろいろな人が使えば、国税庁としても利用ニーズやよく使われる機能を分析できます。
たとえば、不動産を最大で何個入力する人がいたか、どのくらいの資産規模の入力が多かったか、どのページで操作に手間取ったか、などの情報を入手できるわけです。
そこで収集した利用者ニーズは、相続税の申告書作成コーナーを実際に作る時にも役立てられます。
より使いやすい画面に仕上げたり、入力欄の個数を決定したり、システム規模の見積もりにも活用できます。
それに加えて、申告判定コーナーの入力の仕組みや評価額計算のプログラムは、申告書作成コーナーを作るときにも使いまわせます。
この申告要否判定コーナーは、サイトの作りが所得税の申告書作成コーナーと似ているので(もしかしたら同じ業者が作ったのかも?)、相続税申告書作成コーナーの開発途中バージョンのような位置づけなのかもしれませんね。
以上のような理由があれば、こんな中途半端な(失礼!)サイトが作られることも納得できます。
相続税の申告書もネットで簡単に作成できる日が、意外と早くに来るかもしれません。
- 2015/06/23(火) 23:06:07|
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相続税を減らす目的で、贈与により親から子へ財産移転する手法があります。その場合の注意点として、「毎年110万円以上の贈与をして、贈与税の申告をしておくとよい」という話をたびたび見聞きします。
FPや税理士との会話でよく聞く話ですし、雑誌にも当然のように寄稿されている手法ですが、この解釈は間違いです。
この話は、毎年の贈与行為が、連年贈与であると国税庁からみなされないようにするための一つの手段と考えられています。
連年贈与とみなされれば、初年度に「贈与金額×年数」の贈与があったものとみなされ、贈与税が課税されてしまいます。
けっこうな税額になってしまいますから、こうならないように対策をしておくことは重要です。
しかし・・・
当たり前のことですが、たとえ110万円以上の贈与をして、贈与税をきちんと納税していたとしても、その実態が連年贈与に当たるものであれば、当然ながら国税庁は「連年贈与をしているのだから、既定の通り贈与税を払え」と言ってきます。
過去の申告内容を否定した上で、追徴課税もあり得ます。なぜなら、正しく税の申告をしなかったのですから。
110万円以上の贈与をして贈与税を払うと、贈与の事実と納税の事実を国税庁に伝えることはできます。
しかし連年贈与か否かは、あくまでも贈与契約の内容・性質で判断すべきものです。
なので、毎年少額の贈与税を払い続けていると、逆に国税庁から「この人はなぜ毎年少額の贈与税を払っているのだろう?その額で連年贈与でもしているのかしら?」と疑いをもたれる可能性だってあるわけです。
贈与の実体が毎年同じようなものであれば、もしかしたら連年贈与と(形式的に)みなされてしまうかもしれません。例えば次のようなケース。
・毎回の贈与で贈与契約書の体裁・記述が同じある
・毎年決まった時期に、贈与をしている
・贈与額が、毎年ほぼ同額である
・贈与の理由が明確でない、または同じ理由で贈与している
・贈与契約の書面があっても、贈与についての話し合いの場が持たれていない/議事録のようなものがない
毎年贈与税を納めれば連年贈与の認定を免れる、という趣旨の内容を真顔でいう人たちが多いのですが、その解釈は間違いなのです。
なぜこのような話が出回るようになったのか。その起源はタックスアンサーの解説記述にあるといわれています。
タックスアンサーの記述を引用します。
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Q1
親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下ですので、贈与税がかからないことになりますか。
A1
各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。
ただし、10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束をした年に、定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかりますので申告が必要です。
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この記述を逆解釈(という言葉は適切じゃない気がしますが)して、「毎年贈与をする場合には、基礎控除額以上を納税して申告すればよい」という発想が生まれたといわれています。
上記タックスアンサーの記述は、連年贈与の概念と、贈与税の基礎控除額のことが、ゴッチャに書かれています。だから誤った発想が広がったのかもしれません。
でも、税の仕組みをきっちり学んでいれば、そんな解釈にはならないと思うのですが・・・
(FP試験のテキストの記述では、ここまでの理解には至りにくいのも事実ですけれど)
相続対策として打ち出される生前贈与は、私から見れば単に連年贈与に当たると感じるものも見受けられます。
国税庁が調査に入ったとき、どう判断されるかは、わかりませんが・・・
連年贈与にまつわる誤った解釈が広がっているのは事実ですし、節税をアドバイスするならなおさら、連年贈与とみなされないような対策を、相談顧客に提示する必要はあるでしょう。
今後、相続対策がますますブームになろうと思いますが、誤ったアドバイスでお客様を困らせる結果にならないよう、気を付けてほしいと思います。
- 2015/04/24(金) 23:27:11|
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今日は、相続に関するお話を。
一般的に、土地の相続税評価額は、路線価方式を採用します。
しかし中には、利用価値が著しく低いなどの事情で、路線価方式での評価額よりも、実際の取引額(時価)の方が低くなる場合もあります。
この場合、時価で相続税の申告が認められる場合もありますが、下記の点から判断して、売買価格が適正な価格であることが求められます。
・売り急ぎ等による事情で、本来想定される時価よりも低い売買価格でないこと
・売却先が、特別な利害関係者(同族会社、親族など)でないこと
なお、該当不動産を売却後、売却先がそれより高額で転売した場合には、その転売価格が時価であるとみなされ、評価額と判断されることもあります。
ちなみに不動産鑑定士による評価額も、場合によっては税務署に否認されることもあり得ます。
国税庁側でも不動産を鑑定してその価値を算出し、国税庁側との価格との間に大きなかい離があれば、不動産鑑定士の評価額が否認される可能性もあるのです。
相続税対策では、土地の評価額をいかに下げるかが重要です。やりすぎはダメですが、専門家の腕の見せ所でもありますね。
- 2015/04/08(水) 21:43:45|
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昨日、相続を専門にする勉強会(SG)に参加してきました。
FPの教科書的内容ではなく、相続実務について深く学ぶ会でして、昨日はいろいろとおもしろい内容を学ぶことができましたので、一部をここで皆様に共有したいと思います。
■自筆証書遺言の方式瑕疵によって、遺言内容が無効となるケース
自筆証書遺言は自筆で書くのが原則です。
しかし、病気により手が不自由な場合など、第三者に沿え手をしてもらいながら自署をした場合、遺言の有効/無効が問われる場合があります。
たとえ添え手をしても、遺言者の筆記を客観的にサポートしたにすぎない場合、添え手をした人の意思が遺言に反映されていないと判断できる場合は、遺言自体は有効となります。
また、日付が客観的に特定できる遺言なら有効とされます。たとえば平成●年の誕生日と書かれた場合など。
ちなみに、「平成●年の結婚記念日」と書いた場合、その方が結婚経験が2階以上あったらどちらの結婚記念日かわからないので無効となります。また、結婚式を挙げた日と入籍した日が異なっていたり、さらにそれらとは別に定期的な日程で結婚をお祝いしている事実がある場合には、日付を特定できないため無効と扱われる場合もあります。
もっとも、遺言の日付は年月日まで数字で書くに越したことはありませんね。
■公正証書遺言の方式瑕疵によって、遺言内容が無効となるケース
他人が書いたメモを遺言者が口述して作成された公正証書遺言の場合、有効とされた判例があります。
一方、遺言者が公証人に遺言内容を説明した事実がなく、さらに遺言内容の口述においても公証人の問いかけに遺言者が声を出してうなずいただけの場合は、公正証書遺言が無効とされた判例もあります。
■遺言能力の有無について
たとえ公正証書遺言であっても、遺言者がこん睡状態、痴呆状態、認知症の状態であった場合には、遺言能力がないとみなされ、無効とされる場合があります。
■遺言無効の訴えを起こす場合
公正証書遺言が無効であると思った場合は、地方裁判所へ遺言無効確認訴訟を起こさなければなりません。
家庭裁判所ではない点に、注意が必要です。
■不倫相手への遺贈は有効かどうか
不倫相手への遺贈が有効とされるのかどうかは、判断が分かれるところです。
一般的に、遺贈は遺言者の意思として尊重されるのですが、不倫相手への遺贈が公序良俗に反するとみなされる場合は、その遺贈は無効とみなされることがあります。
結論としては裁判によって有効/無効が判断されることになりますが、配偶者との婚姻の実体が失われているのかどうか、不倫相手との内縁関係がどれくらい継続していたか、その遺贈により法定相続人の生活が脅かされるのか、などによって、結論は別れてくるようです。
概要は以上となります。言うまでもないことですが、相続トラブルにならないような遺言となるようにアドバイスをすることが大切ですね。
- 2014/07/17(木) 16:35:31|
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先日、自ら相続税申告書を書いているとお伝えしました。
自分自身に相続があったわけではなく、相続対策システムの開発にあたっての事前調査として、相続税の申告作業を行っています。
あれから作業を継続し、多くの申告書用紙を使うような複雑な事例を作り、相続税の計算を詳細な点まで深掘りして把握しました。
最初はなかなか複雑だな~と思いましたが、何度かやっていると作業がパターン化され、比較的すらすらとできるようになります。
相続税の取り扱いに慣れない税理士が相続案件に関わると苦労する、といわれているのが、わかるような気がしました。
だからこそ、相続案件に数多くかかわってきた税理士には、それなりの強みがあるといえますね。
それにしても、プログラマーが相続税の申告をやってるって聞いたことがないですね(笑)
今までの仕事の中でも、相続税の計算ロジックを理解しているシステム開発担当者には、出会ったことがありません。
これが、所得税の確定申告だったらいるのです。フリーランスのプログラマーなどは、確定申告をやっている人は多くいますが、それとは対照的です。
さてさて、一通りやってみて分かったのですが、
・納得感のある遺産分割の検討
・相続財産の評価減の検討
・相続税の納税額を下げるための検討
・納税資金の過不足の検討
を一画面で行える仕組みを作り出すことができました。
様々な相続対策の効果を、簡単操作でパソコン上でシミュレーションでき(実際にはタブレットやスマホでも操作可能)、複数のシミュレーション結果も簡単に確認でき、相談者と税理士などの専門家とが対面でお互いに納得感をもって業務を遂行できる、というシステムの開発のめどが立ちました。
ただ、相続関連の実務に関わったことがないので、これが本当に現場改善、業務効率改善につながるのかどうかが不明確ではあります。ですので今後税理士の方にお会いした時には、このシステムの使い勝手などについてお伺いするかもしれませんが、ご協力いただけると嬉しいです!
このシステムについて、進展がありましたら改めてお伝えします。
- 2014/07/03(木) 13:04:54|
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