昨日に続いて、相続関連のお話です。
あるサラリーマンが死亡したことにより、死亡退職金が支払われるとします。
この死亡退職金は、受け取った人の固有財産となるのでしょうか?
それとも、相続財産として扱い、遺産分割の対象とするのでしょうか?
これは、退職金の規定によって左右されます。
退職金の規定によって死亡退職金の受取人が定められている場合には、死亡退職金はその受取人の固有の財産とみなされます。
一方、退職金規定に、受取人に関する規定がない場合は、ケースバイケースで判断されるようですが、多くの場合は受取人の固有財産ではなく、相続財産(遺産分割の対象財産)として扱われるようです。
ちなみに、この死亡退職金が特定の人の固有財産となった場合、それが遺産分割上の特別受益として判断されるケースもあるようです。
この死亡退職金が、遺産分割のときに相続人間でもめるきっかけにならないようにするためには、生前に死亡退職金の規定を把握し、遺産分割方針を決めておくことが望ましいですね。
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- 2013/06/29(土) 15:59:39|
- 相続・事業承継
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被相続人が亡くなった時に、被相続人を被保険者とする生命保険の保険金が、相続人に払われるという事例は多くあります。そして受け取った保険金はその相続人の固有の財産であり、遺産分割の対象にならないとされています。この点については、ファイナンシャルプランナーの試験でも出題されている通りです。
その一方、遺産分割において特別受益という概念があります。これは、ある相続人が、相続遺産以外に被相続人から財産を受け取っていた場合、相続人の間で遺産分割が不公平になるので、それをある程度是正するための制度であります。
前述のとおり、生命保険金はある相続人固有の財産となりますが、そもそも保険料は被相続人の財産から支払われます。ということは、生命保険に加入したことにより、結果として相続財産の額は縮小してしまいます。
したがって、生命保険金を受け取った相続人が、遺産相続で有利になる、という構図になることがあります。
実際、受け取った生命保険金が特別受益に当たるのかどうかが、裁判所で争われることもあり、その結果は裁判の内容によって分かれています。
生命保険金の額が、遺産総額と比べて不当に高額であったり、また生命保険を受け取った相続人に有利となるように意図的に仕組まれていた場合などは、特別受益として認められるケースもあるようです。
個別のケースにより判断が分かれるところですので、弁護士の業務分野となりますが、FPとしては「場合によっては、保険金は特別受益と認定されることがある」という点を理解しておくとよいでしょう。
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- 2013/06/28(金) 20:53:10|
- 相続・事業承継
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成年後見制度における被後見人が書いた遺言の効力についての話題です。
被後見人は、様々な判断能力が失われているとされているので、その方が書いた遺言が効力を持つのかどうかが問題となるケースがあります。
実務上は、次の2つの点が明らかになれば、遺言の効力は有効とされています。
・遺言を書いた当時、被後見人が自らの意思をもって書いており、かつ判断能力にも問題がないこと
・被後見人となった後に書いた遺言である場合には、医師2人以上の立会いのもと、遺言作成時に判断能力があったことを医師が証明できること
なお、被保佐人の場合には上記の2点の条件は適用されません。
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- 2013/06/26(水) 09:29:20|
- 贈与・民法
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業者が持ってきた不動産賃貸シミュレーションのもとでの不動産賃貸経営は、顧客に不利益が出る場合があります。なぜなら、そのシミュレーションは現実以上に高利回りを実現できるかのような「演出」がなされており、顧客に不利となる前提が欠けていることがあるからです。
不動産賃貸経営の健全性をしっかり検証しようとお考えの場合は、下記のようなシミュレーション方法を参考の上、その健全性を確認するのがよいでしょう。
<<賃料収入の計算>>
・賃料相場を調べる
http://www.athome.co.jp/souba/都道府県や路線などを指定して、家賃相場を検索できます。対象物件近辺における同じような間取り、築年数の物件の家賃相場を調べることができます。
・空室率の確認
http://toushi.homes.co.jp/owner/都道府県や市区町村単位で、不動産の空室率を調べることができます。自身が保有する不動産が全室埋まるという保証はありませんから、この平均的な空室率が自身の保有不動産においても発生しうるという前提を置き、それでも黒字を実現できるか検証することも大切です。
・想定賃料を算出
賃料相場と空室率から、簡易的ですが
賃料×戸数×(1-空室率)
の計算式で、毎月の賃料収入を計算することができます。
<<支出の計算>>
賃貸不動産を所有している限り、下記の費用が定期的にかかります。
・外壁塗装、定期点検、清掃にかかる費用
・エアコンや温水器など、各部屋の設備の交換やメンテナンスにかかる費用
・共用部分の照明、水道設備などの月額費用や交換メンテナンス費
・マンションの火災保険料、地震保険料(おもに共用部分の保険)
・不動産管理会社に業務委託している場合は、管理費
・入居者の入れ替えに伴い発生するクリーニングなどの費用
・空き物件について、不動産仲介業者への募集費用
・固定資産税
・銀行への借り入れをしている場合は、その返済額。
<<不動産経営の利回り計算>>
年間不動産収入=収入-支出
利回り=年間不動産収入÷初期投資額
以上は、建物のみの利回り計算です。
土地も考慮に含める場合は、同様にして土地の収入と支出を算出したうえで、利回り計算をする必要があります。
年間不動産収入=(建物の収入+土地の収入)-(建物の支出+土地の支出)
利回り=年間不動産収入÷(建物の初期投資額+土地の初期投資額)
以上の点まで計算できれば、より現実的なシミュレーションになるでしょう。
株式投資と同じく、不動産投資も自己責任で取り組む姿勢が必要です。
業者の「儲かる」という言葉を信じて、投資に取り組むのはたいへん危険です。
不動産投資を行う本人が、その収益性を可能な限り正確に把握し、さらにその収益性を実現するために、責任をもって取り組めることが大切です。
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- 2013/06/25(火) 06:23:51|
- 不動産
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社宅の制度がある会社にお勤めの方は、世間の人々よりはるかに安い賃料で住まいを借りているケースがあると思います。この場合、適正な家賃と、その社員が実際に払った賃料との差額は、給与とみなされるのかどうかについてご説明します。
従業員に社宅を貸した時、下記の計算式で計算される「賃貸料相当額」以上の金額を従業員から家賃として受け取っていれば、給与として課税はされません。賃貸料相当額とは、下記1~3の合計額をいいます。
1.その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
2.12円×その建物の総床面積(単位平方メートル)÷3.3
3.その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
さて、この賃貸料相当額より低い金額を家賃として従業員から受け取っている場合ですが、課税のパターンは次の3つに分けられます。
・従業員に無償で貸与する場合
賃貸料相当額の全額が給与課税されます。例えば、賃貸料相当額が10万円の場合、10万円が給与として課税されます。
・従業員から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%未満の場合
受け取っている家賃と、賃貸料相当額との差額が給与として課税されます。例えば、賃貸料相当額が10万円で、2万円の家賃を受け取っている場合、10万円-2万円=8万円が、給与課税されます。
・従業員から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上の場合
この場合、従業員に対する給与課税はありません。
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- 2013/06/23(日) 10:20:51|
- 税金
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地震保険の保険金の上限についてのお話です。
建物に対する地震保険の保険金の上限は、以下の2つの条件のうち、低い方の金額となります。
・火災保険金額(建物価格が上限)の30~50%
・1戸当たり5000万円×該当物件の戸数
具体的な事例を使って計算した例は、以下のとおりです。
火災保険の保険金額が6億円、戸数が50戸のマンションのケース:
・火災保険金額の50%=3億円
・1戸当たり5000万円×50戸=2億5000万円
以上より、このマンションの地震保険の保険金額の上限は、上記2つの金額の小さい方である2億5000万円となります。
保有している賃貸物件に地震保険をかけるとき、参考にしてください。
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- 2013/06/20(木) 16:19:11|
- 保険・リスク管理
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