先日の日経新聞に、マネーの達人と称する方のコラムがありました。
ただ、それを読んだ時にとても物足りなさがこみあげてしまったので、この記事を書くことにしました。
このコラムでは、次のような記述がありました。
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「貯蓄専用の口座を作ること」が達人からのアドバイス。
「収入-支出=貯蓄」と考えてしまうと、収支トントンの貯まらない人になってしまう。
「収入-貯蓄=支出」という発想が大切。
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言いたいことは何となくはわかります。
このコラムの論点としては、次のようなものでした。
・毎月一定額を貯蓄すれば、確実に残高が増える
・普段から通帳をこまめに記帳し、通帳を家計簿代わりにする
・収入が支出を上回ったら、その時初めてレシートを確認して反省すればよい
コラム全体として、貯蓄の大切さを伝えようとしているのだとは思いますが、きちんとしたファイナンシャルプランナーから見れば、突っ込みどころ満載に見えます。たとえば・・・
「毎月一定額を貯蓄すれば、確実に残高が増える」
⇒数学的に考えればその通りですが、毎月確実に貯蓄できるわけではありません。
子供が高校生以上になった時には教育費がかかります。介護をしなければならないときは支出もかさみます。リストラなどの理由で一時的に収入が途絶えることもあります。その他、あらかじめ予定される出費もあるでしょう。
人生の中で、支出の方が上回る機会は、どうしても発生してしまいます。
数学的な理屈も大切ですが、そうはいかない現実を踏まえたうえで、支出が上回る機会があってもきちんと乗り越えられるよう(できれば一生涯の視点で)きちんとマネープランを立てるという視点が、より大切です。
「普段から通帳をこまめに記帳し、通帳を家計簿代わりにする」
⇒複数の通帳を作ると、資産のありかとその記録が分散されてしまいます。それに通帳には反映されない金額もたくさんあります(手持ちの現金による買い物、資産運用に充てた金額、など)。
お持ちの資産額をトータルに管理&把握するためにこそ、(総合財産簿としての)家計簿は必要ではないでしょうか。
(預金通帳1冊だけでは、FPはどうにもアドバイスできないですよね?)
「収入が支出を上回ったら、その時初めてレシートを確認して反省すればよい」
⇒通帳を家計簿代わりにといいながら、見るのは通帳じゃなくてレシートなの?(笑)
というつまらないツッコミは置いといて、そもそも何を反省すべきなのか、その指針を持つことが大切です。
その指針がなければ、反省のしようがありません。でも、いつ頃どれくらい支出が増えるのかが分かっていれば、それが指針になります。
あらかじめ支出が収入を超える月(または年)があっても、それが予定されていた支出金額に収まっていれば問題はないでしょう。
ただそのためには、何年後にどれくらいの出費が見込まれるのかを、きちんと前もって理解しておくことが大切です。
いろいろ書きましたが・・・
私に言わせれば、誰にでも当てはまる当たり前のことを伝える人、机上の空論だけで結論に至る人は、マネーの達人ではありません。
一人一人の異なる事情を持つ家計を前にしたときであっても、人生トータルで見た時に家計破綻にならないような大局的な視点をもって、きちんとプランニングができる人こそが、マネーの達人だと思っています。
(ファイナンシャルプランナーの方は、得意なところだと思います)
そう考えると、キャッシュフロー表の作成スキルと、その分析スキルは大事だなーと考えています。
私自身もこの「マネーの達人」を目指したいですし、1億2000万人の全国民からお金の不安がなくなるよう「マネーの達人」の皆様の活躍を期待しています。
p.s.
貯蓄は、将来使う予定のあるお金を、前もって貯める行為です。
したがって、将来必要な金額を算定できない以上、「適切な貯蓄額」を計算することもできない、と考えることもできます。
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- 2014/04/22(火) 14:40:13|
- ライフプラン・家計
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先日、火災保険の勉強会に参加してきました。
私は普段の仕事で、火災保険の販売や営業を直接行っているわけではありません。しかし住宅購入のプランニング、ならびに生涯のライフプランニングには関わっていますので、火災保険の知識は重要です。
今回の勉強会に参加し、火災保険についての見識を広めることができました。
また、現在開発中の統合ファイナンシャルプランニングシステムの、開発上の参考になった点もありました。
その内容をすべてお伝えはできませんが、個人的に記憶にとどめておこうと思ったところを中心に、下記の通りまとめています。
なお、勉強会の内容で学んだことに加え、私の考えも追記している箇所があります。
皆様も、参考になるところがあれば幸いです。
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FP試験では、住宅火災保険、住宅総合保険、という区分を学んだ。
しかし現在はこの2種類の枠にとらわれず、様々な補償プランが存在する。
どの保険会社も、いわゆる住宅総合保険は取り扱っているので、どの会社で契約しても同じと考えている人が多い。
確かにどの保険会社の住宅総合保険であっても、補償ががあるかないかでいえば「ある」だ。しかし、どれくらいの金額を補償するのか、どこまで細かい損害までを補償してくれるのかは、保険会社によってばらつきがある。
(ファイナンシャルプランナーは、消費者のニーズにあった保険を選択するには、それ相応のスキルは必要)
風水害での補償は、一定額以上の損害の時にしか保険金が払われない保険と、軽微な損害であっても実損額を補償してくれる保険とがある。もちろん前者の方が保険料は安く、他社より保険料がお得と見せかけることはできる。
現在は後者の保険が販売の主流になっている。
水害により、1階部分が床上浸水していなくても、地下室が浸水した場合、一定基準に従って補償の対象となる場合はある。(言葉上解釈される「床上浸水」でなくても、保険金が下りる場合はある)
実損額を保険金として支払ってくれる場合であっても、もらえる保険金に2パターンがある。
一つが損害額ベース。実際に損害にあった部分をもとに、保険金額を算定する。
もう一つは修理費ベース。損害額だけでなく、復旧に必要な修理費を、保険金額として支払ってくれる。
例えばコンロ・食器洗い乾燥機・レンジが一体となったキッチンがあり、その1部分だけが損害を受けたが事実上丸ごと買い換えないと意味をなさない場合があったとする。この場合、実損額ベースだと損傷した部分の金額だけを個別に算定して補償されるのに対し、修理費ベースだと丸ごと買い換えた時の金額を補償してくれる。
もちろん、修理費ベースの方が、保険料は高い。
個人賠償責任保障特約では、示談交渉サービスがついているかどうかも大切なポイント。個人が示談交渉をするのは骨の折れる作業。しかし勝手に示談交渉をしても、保険会社がそれに基づいて保険金を支払ってくれるとは限らない。示談交渉サービスがあると、いざという時に助かる。
最近の住宅は、太陽電池、燃料電池、電力調整機器など、さまざまな機械設備が導入されている。通常、これらの設備がメーカー保証期間を過ぎて故障した場合、その修理費は居住者負担である。しかしこの修理費を補償してくれる特約も出始めている。(家電量販店が独自に行っている延長保証と同じ位置づけのサービス)
地震保険の支払いは、全損、半損、一部損の3種類。これらは既定の比較的簡易的な審査で決定される。実損額は一切考慮しない。
地震保険は、スピーディに保険金を支払うことに重きを置いている。東日本大震災の発生日から2か月後には、地震保険に加入していた被災者の9割の査定が終わっていたといわれている。
今年7月から、地震保険料の耐震等級割引に変更がある。耐震等級1なら10%割引、耐震等級2なら30%割引、耐震等級3なら50%割引。
火災保険は通常、長期の契約は引き受けない(保険料自体が年々上昇する可能性もあるため)
ただし30年近くの住宅ローンの契約で住宅を買う場合は、融資をする金融機関からの依頼もあり、長期の保険契約を引き受ける場合がある。
したがって、比較的短い保険期間で契約している人が、あとから長期の保険契約を締結することは通常は難しい。
火災保険は今後値上がりする可能性がある。日本全体で住宅の老朽化が進み、給排水設備のトラブルが増えているため。
地震保険は、今後も上昇する可能性がある。現在の保険料は、南海トラフ地震の発生確率などが考慮されていない。
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以上
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- 2014/04/10(木) 23:17:59|
- 保険・リスク管理
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前回の記事で、月額2980円のスマートフォンについてお伝えしました。
家計を見直すうえで、今後は毎月の通信費を見直すことも、一つの観点に加えることができるでしょう。
たとえば、現在スマホに月8000円のお金をかけている人が、3000円に見直した場合、月5000円の支出が減ります。
年間で6万円です。20年続ければ、120万円です。
夫婦で見直せば240万円、もし一家4人が見直せば、480万円です。
20年後にこれだけの金額がたまると考えれば、これを教育費の足しにすることもできます。
この通信費の見直しというネタを持っておけば、家計プランニングにおける支出削減提案の選択肢が広がりますね。
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- 2014/04/07(月) 22:59:19|
- ライフプラン・家計
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イオンが、月額2980円のスマートフォンを発売しました。
この料金の安さは魅力的ですね。一般的なスマートフォン契約形態より、毎月3000~5000円は安くなります。
一般的なスマートフォンよりも、通信速度が遅めというデメリットはありますが、これを受け入れられるなら、家計の節約にも貢献できます。
実は、これくらいの低価格でスマートフォンを利用する方法は以前から存在はしていました。
ただ、一般の人にはやや敷居が高い方法で、スマートフォン本体、SIMカード(通信を行うために必要な、スマートフォン内部にセットするカード)を別々に入手し、しかも「SIMロックを外す」という手続きも必要です。電話機とSIMカードの相性によっては、通信ができないなどリスクの高い手法でした。
今回のイオンのスマートフォンの注目点は、低価格なことはもちろん、従来の携帯ショップで手続をするような簡単さで利用できる点です。利用者にとって、とてもわかりやすいサービスとして構成されているところが、評価できる点です。今までより一歩進んだ、優れたサービスと感じます。
現在、スマートフォンの利用料金が高止まりしている上に、消費者にとってわかりにくい料金体系が横行しています。
他社からの移行を誘って、高額なキャッシュバックサービスを展開していますが、その原資をたどれば携帯ユーザーが毎月支払っているお金です。
さらに、広告に表示されている金額で利用できるかと思いきや、あれこれ有料オプションをつけないと契約できなかったり、オプションを断ると広告に表示されているより高額な利用料を請求されます。
結局、スマートフォンを所有することでいくら支払いが必要かは、窓口で確認するまでは消費者は把握できません。料金に関して錯誤も発生し、請求金額が消費者が理解したのとは異なるものであったために、消費者センターに相談に駆け込むなど、トラブルが後を絶ちません。
今回のイオンのスマートフォンのように、低価格で余計なオプションもなく、分かりやすいサービスという、まっとうな料金プランが普及することを、期待したいです。
イオンのスマートフォン:
http://www.bmobile.ne.jp/aeon/n4.html
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- 2014/04/04(金) 14:41:11|
- 筆者のつぶやき
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プレゼン、講演、社員教育など、相手に対して大事なポイントを伝えなければならない場面はたくさんあるでしょう。
その大事なポイントを、相手に理解してもらうためのコツを、お伝えします。
そのコツですが、何と言っても、どこが大事なポイントなのかを、わかりやすく強調することです。
プレゼンや講演、社員教育の場面においては、数十分もの時間をかけて、様々な要素をお伝えしなければなりません。
たくさんのことを伝えるときに、単調な話し方・説明の仕方では、どの内容も同じくらいの重要度にしか、相手は感じ取ることができません。
特に重要なことを伝える場合には、次の点を意識しましょう。
・文字を大きくする(色を変える)
・話し方を変える(ゆっくり話す、声のトーンを変えて話す)
・繰り返し伝える(伝える回数を変える)
この3点、思い当たることはたくさんあるでしょう。
新聞や雑誌を思い出してください。
見出しの文字は、他と明らかに区別してわかるように強調されています。
出版側が特に読んでほしいと考えているところは、ページ数を割いた特集形式にしたり、注目度を高める演出が紙面上に見られます。
講演上手な方を思い出してください。
大事なポイントは、あえてゆっくり丁寧に話しています。
大事なポイントは、強調しつつ、繰り返し話しています。
プレゼン上手になろうと思ったら、大事と思うところには強調する演出をする!という発想で、やってみましょう。
きっと良い効果を生むはずです。
私もこの方法を活用しています。プレゼンやセミナーに限らず、システム開発の現場、教材作成の業務にも応用しています。部下を叱る時、上司に提案するときにも応用できますよ。
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- 2014/04/02(水) 07:28:36|
- ビジネススキル
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